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シーズンの終わり
ゲームの内容からして、ドローというリザルトは妥当なものだった気はします。
一方で、個々の選手の持っているものだとか、この一年での上積みであるとか、それぞれに発揮できていたと思える部分があって、苦労はあったけれども、決して無駄ではなかったのだなと、そのように思いもしました。
プレスに押されている場面で、前への収め方にもっと工夫が欲しかった、あるいは、バックラインも含めてしっかりとボールをキープし、動かす力がそれぞれに備わって欲しいとも思える、そういうところはまだまだあって、服部がいない来期に向けては、更なる苦労がありそうだなー、というのは、偽らざる気持ちですが、一方で、井上平や永里のように、得点したというだけではなく、守備でも、またボールのないところでも、それぞれにしっかりと自分のタスクをこなせていた選手もいたわけで、それが全体の意識とちゃんとリンクして発揮できるようなチームにしていって欲しいなと、今の時点ではそのように思います。
今季限りの選手たちについては、それぞれあるのですが、でも取り合えず、二人だけ。
まず服部。
厳しさと温かさを兼ね備えたパーソナリティ、経験に裏打ちされた判断力の高さ、それを支える技術の質という、サッカー選手にとって必要なものをたくさん備えていて、僕にも見ていてとても勉強になる選手でした。守備面でのバランス感覚には何度も唸りましたし、若い頃はあのジュビロでは「下手っぴ」扱いだったようですが、やっぱり努力は裏切らないのだな、と思わせる左足からのフィードの質の高さもまた、大きな見所でした。彼の傍でプレーを見ていた若い選手たちが、今後の糧にして欲しいと願っています。まだまだ元気ですので、色々と寄せる荒波の多いJリーグですけれども、現役にこだわって欲しいですし、ぜひより一層のご活躍を期待します。
次いで義成。
2002年の開幕前だったと思いますが、高桑、柴崎、高木という3人のGKに関する評価を聞かれて「この3人の中では、高木がベストだと思う」と答えました。GKに必要な要素として、「技術、メンタル、キックの質、何より声の大きさ」が重要だと思っていて、そうしたものを揃えた素材として、非常に優れていると感じたからです。あれからもう随分経ったものだと思いますが。
ここしばらくは、色々と苦悩も多かったでしょうけども、まだ30ですから。GKとしてはこれからですから。尊敬する本並さんが、ヴェルディに来たときは32ぐらいだったと思います。それを考えれば、ここからドンと一伸びできるだけのポテンシャルは持っていると思いますので、ぜひこれを大きなチャンスと捉えて精進して下さい。期待しています。

最後に。
林健太郎が引退したとの報せ。最終節の前日に発表するのも彼らしい、というか。
試合後の飲み屋で、さわさんと「やっぱり寂しいね」と話しました。
今でこそガンバの遠藤の代名詞である「コロコロPK」も、かつてのヴェルディにおいては林健太郎こそがその代名詞であり、「桜井がPKを取って、林が決める」というのは、つまり李ヴェルディにおける必然かつ必勝の一手であり、よく言えば見慣れた光景、風物詩(?)であり、横を転がりぬけていくボールに気づいたGKが見せる「何だよそれ」という落胆の表情は、絶好の酒の肴であり、至福の瞬間でした。
高い上背とがっしりした体幹とは裏腹に柔らかい身体とそこに裏打ちされた懐深いプレー、戦術眼の確かさ、視野の深さ、長短のパスを優雅に操る「マエストロ」。突撃してくるアタッカーの前に立ち、すいっとボールを掬い取ってしまう不可解なボール奪取能力。色々と思い出させる場面それぞれが、彼のプレーのように、淡く柔らかい印象を持っています。
師匠・李国秀が彼を評し「林の『ゆっくりしたプレー』は、教えられるものではない」と言いました。「遅い」という批判は彼につきまとうものでしたが、一方で「遅さ」こそが、彼の特長であったと言えるでしょう。彼のボールタッチの多さこそと、タメて出す一連のボールキープからリリースにおける「リズムの変化」こそが、かつてのヴェルディを象徴したパスサッカーの基盤であり中心軸であったし、是非はともあれ、そのリズムなくして表現できないサッカーであったと僕は考えます。
日本のサッカーにおいては、その特徴として「速さ」が挙げられますが、一方でそれは「忙しなさ」とも映ります。言い換えれば緩急のなさ、「抑揚のなさ」とも。しかしそれこそが日本が世界と戦っていく方法論にあるのだとすれば、あるいは「速さ」こそが日本における選手の評価基準において絶対の優位性を持つならば、恐らく、林健太郎のような選手が評価されることは、今後ないのではないか、もう彼のような選手が現れることは二度とないのではないか、そういう寂しさを感じずにはおれません。
林が今後、どのようなキャリアを積んでいくのかは、まだ彼の胸のうちでしょうけれども、彼にしかない新しい価値基準、評価基準を作って、違う視野を持った選手を世に送り出してくれるようになって欲しいと、そう願っています。
おつかれさまでした。

2009シーズンのJリーグも閉幕。
鹿島は3連覇を果たし、湘南がついにJ1へと昇格しました。
ただまた来年もリーグは続くんです。
ひとまず休息。
あとは、それから。
# by eixeix | 2009-12-06 20:37 | サッカーとか。
そろそろ
夕方のゲームはやめてほしいと思うんですが。17時キックオフとか、正直ツライんですが。主に腰が。
負けたなりに、まあ、平本のを除けばそれなりに評価できる部分もあって、一方でやっぱりというか、服部-レアンドロラインがいないと、どうにも組み立ての深さがなくなって、頑張ってるんだけど、頑張ってるだけ、というような。難しいところですね。
失点シーンそのものは、もう、ああいう風になっちゃったらどうもならんよね、という辺りで、突き詰めて見ると、やっぱり熊本の方が、攻守における踏み込みの速さで上回った前半だったのかなと。
後半は明らかに守り重視だった熊本に対して、ボールは持てたけれども、厚いところを破るだけの何かが足りなかったとは思います。河野から井上のダイビングヘッドにつながった場面とか、それなりに意図した良い崩しが出来てたのでしょうけれども、回数が少なかったことも事実で。
来期の体制がまだ見えてない中で、みんなそれなりに継続して戦っていかなきゃいけないんで、モチベーション的にも難しいところですが、ゲームの内容そのものは悪くない。あとは、自覚の高さとか、フロントの判断の早さとか、そういう部分が求められるのがこの先の数ヶ月、というところでしょうか。
残り2試合。
# by eixeix | 2009-11-22 11:43 | サッカーとか。
つまり、サッカーの面白さ
そこを定義するのは、あるいは一般化するのは、想像するよりも意外に難しいとは思うのだけれども、ただ言えることは、試合終了後、ベルマーレの選手たちにヴェルディのサポーター達が拍手を送った事実こそ、このゲームの内容を誠実に評価した表れであると、そのように思うわけで。

お互いに攻撃的でオープンなゲームをやった。結果はドローだった。ラストプレーで追いつかれたことは残念であり、悔しいのも確かなのであるが、それぞれのチームが得たものは確かにあった。それがすべてで良いじゃないか、と今のところは思う。
ベンチワークの部分では疑問もあった。しかし早々の藤田の故障というアクシデントも考慮すれば、打てる手はかなり限られていた。
ゲームを通して、湘南の両SBと、中盤との距離感や受け渡しにズレが見られ、最初こそ坂本・寺川・田村の張ったスクリーンにさえぎられていながらも、引き付けてから逆サイドという形が嵌まり始めると、面白いようにサイドから切り崩せた。結局、アジエルにボールを預けてくるタイミングをきちんと見て、奪うポイントを定めてから、取って逆サイドを見るパターン、特にレアンドロが左サイドから広いアングルで攻撃をセレクトできる状況が増やせたのが大きかったのかとは思う。
が、それがどこまで戦術的に狙ったものなのかは分からず、むしろ全体に動き出すタイミング、ボールをもらうタイミングと早さが整理されていて、それは言い換えると、守備の作り方と切り替え際の詰めがちゃんと出来ているのだろうな、という。
レアンドロの才覚にサポーターが忠誠を強める一方で、しかしシーズンが終わろうとしていることにお互いが寂しさを感じてもいる。井上平の覚醒は、より確信をもって受け入れられつつある。廣井は不慣れな状況でかつ決してテクニカルな選手ではいが、しかし「自分に出来ること」を誠実にこなそうとしている姿勢は好感される。服部の攻撃時のミスが気にはなったが、攻守の切り替えの場面での位置取りはさすがと思わせる。土屋・富澤の両CBが躊躇なくオーバーラップできる道理。

たまには勝ち負けを抜きにした良いゲームがあってもいいじゃないかと。もちろん、湘南としては勝ち点3が欲しかっただろうが、それは次節、自力でつかみとって頂きたい。

セレッソと仙台が昇格を決め、千葉が降格した。
シーズンの夕暮れ。
# by eixeix | 2009-11-11 01:06 | サッカーとか。