<   2005年 01月 ( 9 )   > この月の画像一覧
天皇杯 05/1/1  (5) 掲げられた杯・幸福・そして
表彰式では、西日が強すぎて、メインスタンドがなかなか見難く、そこは少し残念ではあったものの、なるべく選手達の姿を見ようと眼を凝らした。
歌い、喜び、そしてじんわりとした気分で見つめる。選手の嬉しそうな姿が、素直にこちらの胸を打つ。

天皇杯の授与。
山田がカップを掲げる姿を夢見ていた。恭しく天皇杯を受け取った山田が、少しいたずらっぽい笑みを浮かべて、頭上へと突き上げる。その姿に、また涙がこみ上げる。
ああ、良かったな。今まで応援してきて良かったな。あきらめずに、このチームの傍にいて良かったな。そんな風に、素直な気持ちになる。
周りを見ると、泣いている人ばかりだった。きっとみんな、色んな気持ちを抱いていたんだろうと感じる。人気チームではない。「かつての強豪」という見方は常につきまとう。「Jリーグ的なもの」からの疎外感も含めて、勝たなければ、強くなる意外には認めてもらえない、たぶんそんな気持ちを抱えて、だからこそ我慢してきた気持ちも、きっとあったんだろうと、そう思う。僕自身もまた、そうであったように。

“WE ARE BACK”

そう描かれたTシャツをまとったヴェルディの選手達と、ベレーザの選手達が、一緒に集合写真を撮る。このクラブならではの光景。つまり、今まで培ってきたものの姿。多くのユース出身選手がこの決勝でプレーし、それ以外にもクラブが育てた選手達が主力となって戦った。ひとつの達成であるが、ここもまた、ひとつの通過点、ステップであると言える。
この勝利が「復活」という枠で語られることは予想できたし、誰にでも理解できるイメージの範囲で言えば、その捉え方が間違っているわけではない。もちろんこのタイトルは後退を意味するものではないが、しかし次へ、また次へつながっていってこそ、初めて勝利の価値がある。勝利はまた、次の勝利を必要とする。でなければ、前の勝利は色あせていってしまう。ヴェルディが8年という時間を越えてもなお、かつてのイメージと、復活というキーワードで語られる事実こそ、このことを証明していると僕は思う。
それはある意味で、とても残酷だ。
この幸せな時間が、結局、一瞬の、その場限りのものだと気づかされるからだ。

試合後、飯尾、富沢、一柳、広山らのレンタル移籍が発表され、三浦が神戸、桜井が大宮へと完全移籍していった。ウーゴやウベダらもチームを離れた。そしてワシントン、戸田、上村、町田らの新加入選手も来た。
天皇杯優勝によってACL出場権を得たヴェルディは、より長期的な視点で選手層の確保を迫られる。歴史は、時代は、止まらない。次のシーズンに向けて、ヴェルディは動き出す。停滞は衰退と同義であることを、嫌というほど思い知らされてきた歴史が、あるいはモチベーションになるのか。そうであって欲しい。

けれど、この優勝はとても思い出深く、僕の一生に刻まれた。すべてのサッカーファン、すべてのサポーターが味わえるわけではない喜びを、また味わうことが出来た。
それはとても素晴らしいことで、思い返すだけで、少しだけ得意な気分になれる。
そんな気持ちがあれば、人生は、そんなに悪くない。
[PR]
by eixeix | 2005-01-28 02:00 | サッカーとか。
天皇杯 05/1/1  (4) 閃光・忍耐・結実の時
日は西に傾き、アウェー側から強い光がピッチを覆う。前半もそうだが、かなり見づらい。前半あえてホーム側に攻めて先制点を取ったことは、プランとしては成功だったのか。
ジュビロの交代は、前田→中山だった。これ自体は意外ではなかったが、同時に当然、藤田を投入してくると思っていた。余裕か、それともプラン通りなのか。ただ、いつものイメージからすれば、ヴェルディとしては少し楽にさせてくれる交代だったように思う。
ヴェルディは山田をひとつインサイドに、柳沢を右サイドに置く。守備から入ることを考えれば、これは合理的な布陣。
後半キックオフ。
長いボールに山田が長い距離を執拗に追い詰める。キャプテンの決意を感じる。しかし最初のビッグチャンスはジュビロ。名波のアーリークロスを李がかぶったところに中山が入り、最後はグラウがプッシュ。相馬がカバーに入ったこともあり、シュートは外れたが、後半のジュビロの狙いが明確に見えるプレー。
ヴェルディは引き気味ながら要所にプレスをかけ、奪ったボールを林、大悟らを経由して前線につなげようと試みる。意地というか、ただでは退かない、という意識。それが、意外な展開を生んだのかも知れない。
ジュビロ、自陣内のスローインから名波へ。ここから福西へと当てるパス。ここまではイージー。しかし大悟と平本がタイミングよく反応して福西を囲むと、福西がボールコントロールをミス。平本が強引にボールを奪う。センターサークル内。ゴールまでの距離、約50メートル。
一瞬、平本の身体が沈み込む。力強く前に出る独特のフォーム。細かいタッチでボールを前に持ち出し、グイグイと加速する。名波のスライディングをかわし、服部の寄せをハンドオフ。ペナルティエリアまで侵入すると田中誠がコースを切りにきたが、構わず力強く左足を振り抜いた。
グラウンダーのシュートが、佐藤洋平の指先を抜けた。声が詰まりそうになる。そのまま、ボールは右サイドネットへと吸い込まれていった。前半8分、2-0。
歓喜というよりも、驚喜に近い。勝てるとか、嬉しいとか、そうした気持ち以前に、何かが弾けるような気分だった。
続けて前に出る。林のスルーパスに長い距離を疾走した山田が抜け出し、ミドルを放つがこれは枠を大きく越える。「宇宙開発」という単語が、数年ぶりに脳裏を掠める。
しかし、ヴェルディのチャンスらしいチャンスは、ほぼこれで打ち止めとなる。あとはひたすらにジュビロの猛攻が始まった。
最初はまず、名波とのワンツーから西。これは高木が弾いたが、これ以降、ヴェルディの守備は最後まで西を捕まえ切れなかった。川口、藤田を順次投入するジュビロベンチ。圧力をさらに高める。
下がり気味に名波が構え、福西はゴール近くに陣取って、中山と共にターゲットとなる。サイドを空けて名波を捕まえにいけば、川口が上がってくる。タッチラインから開放されて自由を与えられた西が、ヴェルディ陣内で神出鬼没に暴れまわる。名波にプレスがかからない。FKのようなクロスが立て続けに上げられ、ゴール前で制空権を握られる。厳しい。胃が縮み上がる。プレスをかけようにも、平本も大悟もスタミナ切れだ。平野はまだか、と祈るように見るが、オジーは動かない。肝っ玉が据わっているのか、それとも、動かすことに恐れがあるのか。
藤田が思ったよりもゲームに出てこない、と思っていた矢先、ペナルティエリアすぐ外で林のファウルを誘うドリブル。名波のFKに絶好の距離。後半はまだ20分近くある。1点差になると厳しい。
藤田と名波がボールの傍にいたが、まず名波が蹴る。少なくとも高木は名波が蹴ってくる方に張っていたのではないか。呼吸をおいて、最後に名波がボールを直し、キック。壁を越えたボールがサイドネットへの軌道を描いた、が、これを高木が左手一本で弾き出した。まさに、1点に値するプレー。ゴール前に選手の輪ができる。
しかしジュビロは下を向かない。その5分後に、追撃弾。名波のクロスを中山・福西が落とし、西が最後に至近距離からの強シュート。2-1。まさしく肉迫する。
やり方は徹底している。プレスがかからない名波からのクロスが、徹底的にペナルティエリアへと打ち込まれてくる。恐るべき精度で。福西が競り勝ち、シュートはポストを掠めていく。心臓に悪い。高木、思わずゴールポストを撫でる。さらに福西がペナルティエリアで富沢に倒されるシーンもあったが、これはノーファウル。ファウルでも不思議ではないシーンだったが、福西が再三にわたってシミュレーション気味のプレーを繰り返していたツケがまわったか。もっとも、柏原主審はおおむねこんな調子であったが。
さらにピンチは続く。ロスタイムに突入。浮き球に福西が競り勝ち、落としたボールに中山が詰める。高木が身体を張って防ぎ、追撃の福西のシュートも弾き出す。高木と富沢が倒れ、少し間を空ける。ギリギリの攻防が続く。
ロスタイムは2分。ポケットの中にあった、もうひとつの緑の紙テープを握り締め、もっと早く時計が動くことを祈り続ける。もう少し、もう少し。
ジュビロ、最後の攻撃をペナルティエリアで跳ね返す。ボールを拾った柳沢が一気に駆け、そして次の瞬間、主審の手が挙がった。

高らかに鳴るホイッスル。一瞬の間を置いて、冬の夕焼けに舞う緑色のリボン。
選手全員、いやベンチも、ファンも、全員が腕を天に突き上げる。
8年待った、歓喜の瞬間。
眼の奥が熱くなり、元日の夕日が、ぐにゃりと歪む。
自分でも、こんなに涙が出るとは、思わなかった。
これほど望んでいたとは、思わなかった。
チャントが響く。振り絞ろうとしたチームへの愛の歌は、しかし嗚咽に押し戻されて、声にならなかった。
[PR]
by eixeix | 2005-01-28 01:32 | サッカーとか。
天皇杯 05/1/1  (3) ハーフタイム・不安・決意
短い休息の時間、と言いたいところだが、コンコースはそんな雰囲気ではなかった。
私はタバコを吸わないけれども、喫煙家一同は、一様にややうつむき加減で一服している。空気が重いのは、煙のせいだけではないだろう。皆、顔に陰りを感じる。タイトルのかかった試合で、1点とはいえ、リードして迎えたハーフタイムとは思えないほど、沈みがちな雰囲気が漂う。
幾人かと、言葉少なく話す。
「厳しいね・・・」「そうだね・・・」「後半は1トップ?」「たぶんねぇ」「でも磐田相手に1点リードでは・・・・」
やはり、口が重い。

パスサッカーは、ヴェルディの代名詞と言える。その実情や実効性はともかくとして、少なくとも客観的立場から見て、ヴェルディがやっていることはパスを主体としたゲーム構成であると言える。そうしたチームの中において、小林慶行の果たす役割は大きい。彼はまず、非常にオールラウンドな能力を持つMFである。パスの精度、そしてキープ力がある。ファンタジックとは言えないが、判断が早く、正確なプレーを持ち味とする。ポジショニングも良く、ヘディングも上手く、体の強さもあり、ディフェンスでも粘りが効く。そしてもうひとつ、ヴェルディの中盤における「核」、林健太郎との組み合わせもある。林のプレーに関する是非は置いておくとして、少なくとも天皇杯においては、林と慶行の中盤での組み合わせこそが、チームを推進するエンジンであり、時計の振り子だった。これは僕の直感的印象なので正しくはないかも知れないが、恐らくゲーム中、林と慶行の間でのパス交換の本数は、他選手間よりもかなり多いと思う。
パスゲームを行うにあたっての重要なファクターは、パスの精度ももちろん必要ではあるが、ひとつの観点として「選手間の距離」という部分が挙げられる。一定に正しい距離がある、ということではもちろんなく、状況に応じて距離が広がったり縮まったりしながら、なおかつ正確に素早くパス交換が出来なければいけない。そして林と慶行は、例えお互いの距離が遠くかったとしても、双方が確実にパス交換ができるルートないしポジション取りを確保するように動いている(と僕には見えるし、またそれを可能にする技術が2人にはある)。つまりパスの「出し手」として、ひとつの選択肢をお互いとして確保し、さらに次のパスコース、ないしはキープ(ドリブル)を状況によって使い分けることで、パスのリズムを作っている。
2人の距離が狭いときは「タメ」の場面が多く、ここにもう1人が絡んで次の(大体は大き目の)展開へと続く。逆に2人の距離が広い場合は、バックラインへのつなぎも含めてリズムを取り直している場合が多く、どちらかの動きなおしと、ここから前へ当てるパスが一歩目になっている印象がある。この2人からボールが後ろに下げられる状況では、多くの場合、正確なロングフィードを持つ米山がフォローしている。林・慶行から米山へのパスは、最前線の「ランナー」がスタートする「トリガー」になっている場合も多い。パスの「受け手」=スペースへのランの担い手はこの場合、相馬や山田といった両サイドだけでなく、小林大悟もこれにあたる。いずれにせよ、ショートだけでなく、長いパスを織り交ぜたアタックのリズムが、天皇杯を通して見られたヴェルディのパステンポの良さにつながっていた。大きい展開で攻撃の一歩目を作り、相手バックラインを下げることでバイタルゾーンにスペースができれば、今度は慶行がそこへと進出していく。ガンバ戦の先制点はその典型だった。
林と慶行、2人の間でのパス交換を軸に、前線のFW2人の積極的なディフェンスと、中盤の動き出しの連携、というファクターが上手く結びついたことで、天皇杯でのヴェルディのサッカーが形を成していたと僕は考えている。
だからこそ、慶行の退場は痛かった。少なくとも、天皇杯を通して続けていたスタイルが、この試合の後半に限っては、事実上放棄されることを意味していたからである。
リードしている以上、オジーはカウンター狙いに完全に切り替える。飯尾を下げて平本を1トップ、そして中盤にテコ入れ。策は他にない。この時点で、僕は恐らく平野を投入すると考えていたが、懸念材料は平野のコンディションだった。怪我明けの久しぶりの試合、45分は苦しいと思えた。無理ならば、柳沢が入って山田がトップ下か。いずれにせよ、選択の余地はほとんどない。

「耐えるだけになるだろうな」。不安感が口をつく。
しかし、すでにロレツが回らぬほど酔った風のさわさんが、力強く言う。「勝つんだ!点を取って勝つんだぞ!」
皆、コンコースを後にして、ゴール裏へと舞い戻る。選手たちもピッチに現れた。
選手交代は飯尾→柳沢。
腹は括った。あとはやるだけ、そういう空気が漂い始めていた。
[PR]
by eixeix | 2005-01-24 00:59 | サッカーとか。
天皇杯 05/1/1  (2) 熾烈・先制・落とし穴 
試合開始前、コンコースにサポーターが集う。サポーターズミーティング。応援に関するいくつかの確認事項があり、そして否応もなく気勢が上がる。歌声が通路の天井に跳ね返り、さらにテンションをかき立てる。
ヴェルディの、いわゆる「ゴール裏サポーター」は、人数だけで言えばJ1で最も少ないかも知れない。J2をあわせても、下から数えた方が早いのではないか、と思うことがある。これまでの歴史の中で失ってしまった人々がいて、そしてある者は残り、ある者は新たに加わった。僕はこれまでに、幾度となく「なぜヴェルディのサポーターなの?」と聞かれたことがある。そういう時、僕はあいまいに「何か理由が必要なの?」と答えてみたりするけれど、実はそれほど、説得力のある理由を持ち合わせているわけではない。読売クラブの延長、という思いはもちろん一部にあるけれども、しかしそれだけではないことも、また事実であって。ただ考えるのは、何かを嫌いになるには理由が必要だけれど、何かを好きになるには、それほど大きな理由は必要ないのだ、と思うことにしている。
ヴェルディを応援するために集まった人たちにも、多分、それぞれに理由があり、そして理由や理屈を超える感情を、このチームに抱いている。それぞれの熱量を単純に比較することは出来ないけれど、少なくとも、思っていることはひとつだけだった。

向こう側に陣取るのは、昨年の天皇杯覇者・ジュビロ磐田。2ndステージは不調にあえいだが、準決勝で浦和レッズを倒して上がってきている。単純に戦力比較だけなら、磐田の方がやや上だろうか、とも考える。老練なパスゲームと、試合を決定付ける力を持つベテランが控える。少なくとも、ヴェルディの得意な相手ではない。それだけに、むしろ期待が高まる。
試合前の川渕氏の書初めやらマイクパフォーマンスはご愛嬌として、選手の紹介が進むに連れ、言いようがないほどの感情の高ぶりを感じる。浮き足立つ。主審・柏原丈二の名前が告げられたときに、スタジアムにどよめきが走ったことも付け加える。このときから、確実に嫌な予感はしていた。日を浴びて、選手がピッチへと現れる。誇らしい気持ち、緊張、かすれそうになる声と、なぜかこの数年のヴェルディのことが、走馬灯のように思い起こされる。いくつもの負けゲームと、いくつかの勝ちゲーム。不思議な気分だった。
選手がピッチに散らばる。キックオフの笛が高らかに鳴り、緑色の紙テープがゴール裏を舞う。決勝戦が始まった。
試合は最初、中盤を握るためのプレス戦から始まった。スピードの遅いパスは狙いの的となり、どちらも寄せが早く、ボール際での戦いが白熱する。ヴェルディもジュビロも短いパスの合間に長いパスを時々からませて、やや中盤を飛ばしたプレーに攻撃の糸口があるように思えた。緊張感のある中盤の攻防は、予想通りの展開とも言えた。それ以上に目についたのは最終ラインの動きで、いつもよりも3バックがラインからブレイクするタイミングが早めで、追い込むスピードもあった印象。ジュビロのクサビを潰すことは出来ており、中盤で攻勢を握らせない手立てとしては正しい。その一方で、バイタルゾーンで前を向かれることがあったときはフィニッシュ近くまで持ち込まれており、一筋縄ではいかないな、という感じ。
ヴェルディのチャンスも長めのパスから生まれた。最初のチャンスは、短いパスをゆっくり目のリズムで刻みながら右サイドまで展開し、そこから一気に米山のロングフィードで山田、平本とつないだもの。山田のヘッドでの落しに平本がキーパーの眼前へと詰めるが、右足のボレーシュートはあらぬ方向へ。ゴール裏、一様に天を仰ぐ。さらには予想通りの柏原主審の細かい笛もあり、セットプレーからチャンス。珍しく相馬が蹴ったFKを、これも平本がゴール前フリーでヘディングシュート。しかし今度は叩きつけたボールが大きくバウンドしてゴールを越えるという次第。「なんであいつのヘディングは入らないんだ!」と思わず叫んで、周りの人に笑われる。ジュビロも前田の突破や、グラウ、西らの遠目からのシュートでヴェルディゴールを脅かす。加えてセットプレーからの福西の高いヘディングと名波の正確なFKは、どこのチームにとっても脅威だ。うかうかしていたら、先にゲームを持っていかれそうだ。
しかし、ここで均衡が破れる。前半残り10分。右サイドから大悟のFK。ゴール前で上手く抜け出した平本が低い弾道のボールにヘッドで合わせる。これはまたしてもポストを叩いたが、今度は跳ね返ったボールに飯尾が詰めていた。先制点はヴェルディ。ユニフォームをまくり、下に着けた「16」を誇示して、飯尾はピッチ脇にいた桜井へと一直線に駆け寄っていった。
ヴェルディにとっては、どうしても欲しかった先制点。しかし、ここから腰が引けるというか、取り返しに来たジュビロに気圧されたのか、ヴェルディのボールの失い方が悪く、後手を踏む。そうした流れの中で、事件が起きる。前半終了間際、ジュビロ陣で奪われたボールを、カウンターから福西がドリブルで突破。止めようとした慶行の足がかかり、今日2枚目のイエローカードを、柏原主審が高々と掲げる。
「やはり、こういう風になるのか・・・・」。カードでしかゲームをコントロールできない主審であるがゆえの、必然の退場劇。
顔を覆って肩を震わせ、慶行がピッチを後にする。
ゲームはまだ、半分を残していた。
[PR]
by eixeix | 2005-01-14 02:25 | サッカーとか。
天皇杯 05/1/1  (1) 早朝・残り雪・鮮やかなベレーザ
2005年 元日。

前日、首都圏を覆った雪模様も未明には止み、2005年の夜明けは快晴だった。
僕はクローゼットの奥深くにしまいこんでいた緑色のベンチコートを、本当に久しぶりに引っ張り出すと、人気のない早朝の電車に乗って、国立へと向かった。
8年間という長きに渡ってタイトルから遠ざかっていたヴェルディが、再び決勝の地へと戻ってきた。正しいガンヲタの態度としては、ここで一発、アナベル・ガトーのセリフでも引用すべきであろうし、正直、ネタとして考えたことも事実だが、ここは大人の理性を働かせておくことにする。
雪の残る国立の周辺に辿り着いたのが、朝の7時半ごろか。もうゴール裏の見慣れた面々はとっくに結集していて、緊張した面持ちもなく、なぜかシャンパンを開けたりしつつ、体を温めていた。少々時間が早いことを除けば、それはいつもの試合前の様子にも似ていたが、違うところがあったとすれば、合う人同士で「あけましておめでとうございます」と挨拶を交わすこと、そして握手する手にこもる力が、少しだけ強かったことぐらいか。

開門からなだれ込んだ席には、まだがっちりと雪が積もっていた。幕を張るのと平行して、自分の座り場所を除雪する。幸い、快晴の空からもたらされる日差しは暖かく、朝の寒さはあるものの、これならば試合中も大丈夫だろうと考える。

全日本女子サッカー選手権が10時にキックオフ。ベレーザ、タイトル奪還への挑戦。リーグ戦でわずか勝ち点1差、それも最多得点・最小失点にも関わらず、レイナスに女王の座を奪われた悔しさを秘めて、決戦の舞台へ。沢が復調を見せ、伊藤も復帰。戦力は万全だ。
普段からベレーザを応援し続けてきたVBに、ヴェルディのサポーターたちも加わって応援をしていた。対するレイナス側には、レッズの執念を持って赤いサポーターが多数陣取る。しかし、試合は意外なほどあっけない展開を見せた。出だしにレイナスの攻勢を受けたものの、これを跳ね返すと、開始2分には後方からのボールに鮮やかに抜け出した荒川が、1対1を冷静に決めて先制。畳み掛けるように、大野の鮮やかなロングシュートが決まる。長いボールを織り交ぜて、積極的に攻めたベレーザは、さらに大野がゴール前のこぼれ球を決め、3-0で前半を折り返した。後半、レイナスが反撃を開始。GK小野寺が見事なファインセーブを見せるなどの好守もあり、反撃をしのいでいたが、それでも1点を返されてしまう。ただ、途中交代で出場した小林弥生が、上手くボールを保持しながらゲームをコントロールし、流れを押し返すと、そのまま安定した試合運びで、3-1での勝利をものにした。
満面の笑み、喜びのパレード。荒川や中地らがおどけた様子でスタンドへと挨拶に来る。「女王らしい」試合運びを見せたタイトル奪還は、緑色のゴール裏に勇気と誇りを与えた。そして、幾ばくかのプレッシャーも。
しかし男子の決勝戦を前に、弾みがつく勝利。日は高くのぼる。決戦の時が近づく。
[PR]
by eixeix | 2005-01-14 01:28 | サッカーとか。
今さらですが。
天皇杯のことなども振り返ってみようかと思います。
長くなりそうなので、エントリー分けた方がいいのかな。
[PR]
by eixeix | 2005-01-14 00:12 | サッカーとか。
孤高のドリブラー 大宮へ
桜井直人選手移籍のお知らせ

桜井が大宮アルディージャへ移籍するという。ショックだったけれど、でもなんというか、とても桜井らしいな、と思った。

99年に、彼がヴェルディに来た時のことを、今でも鮮明に思い出す。テレビの端に映った「小さくてクイックなドリブラー」という微かな第一印象をもって、ランドのピッチで彼のプレーに対面したときのこと。
「これは、モノが違うな・・・」
異常に重心が低く、激しい加減速と恐ろしく繊細なタッチを織り交ぜた、美しいドリブル。
ちょっとムラっ気はあるが、縦に飛び出す抜群のスピードで敵陣を切り裂くアタック。
今でも思い出すのが、一人旅で向かった広島ビッグアーチの思い出。
前半を0-2のビハインドで折り返したヴェルディだったが、後半、桜井が鮮やかなドリブル突破で広島ディフェンス陣を切り裂いて、お得意のステップで2つのPKを獲得。林が決めて同点にすると、とどめは栗原への鮮やかなスルーパスでアシスト。たった一人で試合をひっくり返してしまったときのこと。
「ヴェルディを変える男が来た」、僕にそう思わせた、5年前のこと。
長く続いた怪我との戦い。ヒザの痛みに苦しみながら、それでもピッチに立てば、鮮やかにヴェルディを救ってくれたヒーロー。サポーターはみんな、無名のあなたが、日本一のドリブラーであると知っていた。だからこそ、みんながあなたのプレーを誇りに思った。あなたがボールを持てば、みんなが「行けー!」と叫んだ。

桜井はいつも言っていた。「僕は雑草だから」「プロだから、評価されるところでやる」。口はいつもとがってるように、ちょっと強がったような言葉が多かった。
コワモテで、短気で、ちょっとひねくれていて、だけど本当はとてもシャイで、子煩悩で、後輩に優しい人情の男。
J1に上がってきた地元・大宮で、キャリアの最後を戦おうというのか。天皇杯を勝ち抜く若い選手たちを見ながら、桜井なりに、きっと何か、次のステップが必要な時期が来たと思ったのか。詳しいことは分からないけれど、なんとなく、腑に落ちる気がする。

さようなら、「桜井さま」。あなたのキャリアが、良い旅であることを祈ります。
[PR]
by eixeix | 2005-01-13 16:43 | サッカーとか。
まああれだ。
ブログだけでいけるようなら、それでも良いかな。どうせそれほど更新するとも思えないんだけども。
[PR]
by eixeix | 2005-01-11 18:21 | コンピュータとか。
テスト的に。
ブログ立ち上げ。
CSSとかいじれるとは言え、やぱちょっと物足りないかも。
まあ、ひとまずこれで。
[PR]
by eixeix | 2005-01-11 15:19 | コンピュータとか。