必要とされているのは
つまり、そういうことなのかな、と、戸川の表情を見ながら思った試合だった。

序盤、神戸のプレッシャーがきつく、こちらが最初から「腰が引けて」入ってしまったこともあって、非常にまずい立ち上がり方をした。自分たちのミスに動揺し、ミスを重ねる悪循環。失点は必然的なもので(厳しく言えば、高木が押さえるべきボールだったと思うが)、「さてどーやったら勝てるのでしょう、これは」と思ったのが正直なところ。
バックライン、特に両サイドバックのところに神戸のウイングが厳しくプレスをかけてくる。ボランチとセンターバックの間も、神戸の2列目、田中と栗原が厳重に見てくる。J2のプレスの厳しさというのは、あるゾーン以降の中盤の「狭さ」であって、最終ラインのボール回し辺りから、両サイドバックにボールが入るタイミングであそこまで寄せて来ることはあまりない。最終ラインとボランチの間のパス交換で落ち着かせる余裕をなくしてしまっては、さすがにどうにもならんな、という感じ。
ところが先制した後、神戸が少しだけ緩む。ゼ・ルイスが賢さを見せて、相手の中盤のギャップにつけこんだところもあるが、ボールを動かせるようになってから、少し気持ちの切り替えが出来たように見えた。で、「現時点で神戸に勝ってるところって何よ?」と思いながらゲームを眺める。
ターニングポイントになったのは、先制点の前、カウンターからルイスが少しだけ持ち上がったところ、なぜかセンターエリアにスペースががっぽり開いていた場面。「あれ?」と思ったのはその瞬間で、余裕を持ったルイスが左斜めのスペースにロングフィード。シウバがチャンスを作りかけるが相手のブロックもあって、ゴールキックへ。ただその一連の流れで、ルイスもシウバも、恐らく「気が付いた」のではないか。神戸の中盤での「追い足」が弱まってきていること、にも関わらず高く上げたままの神戸のラインが、下がりながらのディフェンスに対して微かに脆さを持ってること。アツが痛んだことも、影響していたかもしれない。
先制点の場面は前半35分。バイタルでマルクスがボールキープから引き付けたラインの裏へスルーパス、抜け出したシウバが中に折り返したのを広山がプッシュ。ラインの乱れにつけこんで、見事にギャップへ飛び込んできた広山の巧妙さ。2点目は今度は広山がお膳立てし、裏に抜けたマルクスがシュートをブロックされるも、超絶技を発揮し、GKをかわしてゴールへ流し込む。さらにCKから戸川がJ初ゴールをヘディングで豪快に叩き込み、5分で3得点を挙げた。この間のラッシュはお見事と言うしかない。神戸に立て直す余裕を与えなかった。
後半立ち上がりから神戸が仕掛けて来ることは予想できたし、コンディションの差を考えると、最初の立ち上がり20分ぐらいをどうしのぐかだろうな、と思っていた。
失点したことで少し余裕をなくすかに見えたが、それでもバラつきをどうにか押さえ込んで、シウバとゼ・ルイスが共に見事な個人技を見せて2点を加算した。シウバが再三にわたってオフサイドにかかっていたのも、逆に言えば先制点の場面とイメージがあったからだろうし、つまり「一度でも裏を取ってしまえばこちらのものだ」という意識の現われでもあっただろう。だから彼の得点は当然の報酬であると見る。ルイスのは当初、その前の場面のトラップをミスったのがたまたま上手くいっただけだろうと思ってたのだが、さにあらず。リプレイを見ると、明らかに最初から狙っていたプレーだ。脱帽である。

5得点を挙げたとはいえ、最初の10~15分を見れば、神戸がいかほどにチームとして整っているかを再度思い知らされた試合であって、どちらかと言えば気合と個人技で引っくり返したような試合だった。ただ今年は、先制されるとズルズル行ってしまうことが多く、この試合にしたところで、内容的には逆の結果になっていてもまったく不思議ではなかった。
ともあれ、大量得点をした後は崩れることもままあるし、そもそも2つ3つ勝ったところで浮かれているような状況でもない。
良いイメージを持って、内容を伸ばしていくこと、そういう作業をひとつひとつ続けていくことで、先に見えてくるものもあるのだろうな、と、思った次第である。
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by eixeix | 2006-10-01 00:52 | サッカーとか。
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