天皇杯 05/1/1  (5) 掲げられた杯・幸福・そして
表彰式では、西日が強すぎて、メインスタンドがなかなか見難く、そこは少し残念ではあったものの、なるべく選手達の姿を見ようと眼を凝らした。
歌い、喜び、そしてじんわりとした気分で見つめる。選手の嬉しそうな姿が、素直にこちらの胸を打つ。

天皇杯の授与。
山田がカップを掲げる姿を夢見ていた。恭しく天皇杯を受け取った山田が、少しいたずらっぽい笑みを浮かべて、頭上へと突き上げる。その姿に、また涙がこみ上げる。
ああ、良かったな。今まで応援してきて良かったな。あきらめずに、このチームの傍にいて良かったな。そんな風に、素直な気持ちになる。
周りを見ると、泣いている人ばかりだった。きっとみんな、色んな気持ちを抱いていたんだろうと感じる。人気チームではない。「かつての強豪」という見方は常につきまとう。「Jリーグ的なもの」からの疎外感も含めて、勝たなければ、強くなる意外には認めてもらえない、たぶんそんな気持ちを抱えて、だからこそ我慢してきた気持ちも、きっとあったんだろうと、そう思う。僕自身もまた、そうであったように。

“WE ARE BACK”

そう描かれたTシャツをまとったヴェルディの選手達と、ベレーザの選手達が、一緒に集合写真を撮る。このクラブならではの光景。つまり、今まで培ってきたものの姿。多くのユース出身選手がこの決勝でプレーし、それ以外にもクラブが育てた選手達が主力となって戦った。ひとつの達成であるが、ここもまた、ひとつの通過点、ステップであると言える。
この勝利が「復活」という枠で語られることは予想できたし、誰にでも理解できるイメージの範囲で言えば、その捉え方が間違っているわけではない。もちろんこのタイトルは後退を意味するものではないが、しかし次へ、また次へつながっていってこそ、初めて勝利の価値がある。勝利はまた、次の勝利を必要とする。でなければ、前の勝利は色あせていってしまう。ヴェルディが8年という時間を越えてもなお、かつてのイメージと、復活というキーワードで語られる事実こそ、このことを証明していると僕は思う。
それはある意味で、とても残酷だ。
この幸せな時間が、結局、一瞬の、その場限りのものだと気づかされるからだ。

試合後、飯尾、富沢、一柳、広山らのレンタル移籍が発表され、三浦が神戸、桜井が大宮へと完全移籍していった。ウーゴやウベダらもチームを離れた。そしてワシントン、戸田、上村、町田らの新加入選手も来た。
天皇杯優勝によってACL出場権を得たヴェルディは、より長期的な視点で選手層の確保を迫られる。歴史は、時代は、止まらない。次のシーズンに向けて、ヴェルディは動き出す。停滞は衰退と同義であることを、嫌というほど思い知らされてきた歴史が、あるいはモチベーションになるのか。そうであって欲しい。

けれど、この優勝はとても思い出深く、僕の一生に刻まれた。すべてのサッカーファン、すべてのサポーターが味わえるわけではない喜びを、また味わうことが出来た。
それはとても素晴らしいことで、思い返すだけで、少しだけ得意な気分になれる。
そんな気持ちがあれば、人生は、そんなに悪くない。
[PR]
by eixeix | 2005-01-28 02:00 | サッカーとか。
<< 移籍あれこれ。 天皇杯 05/1/1  (4)... >>